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PT学生さんの麻酔体験談 2回目 (あと1回掲載予定です。)
5回目の麻酔体験 2001.3月 幼少の時から、手のひら(手掌)に大量の汗をかく病気に悩まされた。 いろいろな皮膚科を回ったが、診断はなかなかつかず、「気のせい」と放り出されてしまった。 1998年、新聞にT都N病院ペインクリニック科が多汗症の治療方法を載せていることを見つけた。 ペインクリニック科って何???2000年9月、近所にペインクリニックと言う、まぶしい名の診療所がつくられ、すぐにかかった。 M医師は私の手を見るなりすぐに「これは手掌多汗症ですよ。 今まで苦しんできたでしょう?」と言った。やっぱり。 皮膚科で追い出され、何度も苦しんできた。はぁー、やっと診断がついた。13年も待ち続けてのことだった。 そして、T都N病院にかかるための紹介状を書いて頂き、2001年2月にT都N病院にかかる。 ペインクリニック科部長のS医師は「グレードU〜Vの重症ですね。手術しますか?」とすぐに手術の説明が行われ、後遺症を理解した上で手術日が決定された。 2001年3月末に手術を受けることになった。 ペインクリニック科とは?これは私も知らなかった。ペインは英語でPainと書き、訳すと”痛み”という意味になる。つまり、「痛みの診療所」である。 手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)とは、手のひらに大量の汗をかく病気。 大量というのは、絶え間なく汗が出続け、5分もしないうちに汗の滴がポタポタ落ちるほどである。 寒い冬でも汗は止まらない! 後遺症は、代謝性発汗(手の汗を止めた分が手以外のところから汗が出る)、味覚性発汗(辛いものなどを食べた時、顔などから汗が出る)などがある。 @手術方法@ わきの下を1センチ程切開し、内視鏡を入れ、背骨のところにある交感神経節(第2,第3)を見ながら電気メスで焼き切る。 その手術名が胸腔鏡下胸部交感神経節切除術(ETS)である。 立派な手術名!? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 2001.3月 T都F病院(手術は連携している病院で行うため、N病院ではない)に入院ス。 @手術前日@ PM2:30 入院手続き。いきなりY看護婦に「あんた、バカか…」と言われてしまった。 Y看護婦とは1ヶ月前に術前検査で初対面したのだが、すぐに意気投合、仲良しになった。 手術前にあーゆー事はないだろう…というような態度で言われてしまった。オイオイ、仲良しだからといって、そりゃバカとはないだろ?? @バカの正体@昨日(入院前日)扁桃膿瘍にかかり、高熱を出して貧血起こして倒れてしまったのだ。 手術前は注意しておくべきなのに、風邪を引いてしまったから「バカ」と言われたのだ…。 PM2:30 リッチな個室(4人部屋が良かったのだが、個室に入院、と決められていたため、仕方なく個室に入院)に入院。 手術受けるのに、なぜか内科病棟だった…。 PM3:00 バイタルチェック。血圧異常なし。平熱。 熱よ、上がらないでおくれ!!まだだるく、のどがパンパンに腫れている。 抗生物質と解熱剤でなんとかもっている…。 PM3:30 プラスチック留置針(点滴をするための針)が長時間入るため、入浴。 PM4:20 静脈ライン確保。前腕の静脈が前々回の手術に続き、見つからなかった!! 新米看護婦2人にあちこち刺されまくり、5回は刺されました。 注射は慣れっこなので平気。 新米看護婦はお手上げの様子。結局、I先輩看護婦が来る。 I看護婦は1発で入れた! しかーし、手首の所にあるトウ静脈だった。 PM4:50 F病院の医師による回診。扁桃膿瘍が元気に大きくなりまくっていると言われた。 明日まで油断できないとのこと。あ〜あ。ドジやってしまった。 PM7:00 検温。セーフ、平熱。 PM9:00 眠れない!扁桃膿瘍を殺すために嫌々寝る。 手術に準備するもの…T字帯だけ! (F病院の個室は浴衣、歯ブラシなどすべて用意されているため、持っていくものがなかった) 就寝前に下剤を服用するが、便通があれば服用しない場合もある。 21時以降は禁飲食。 @手術日@ AM6:00 起床、検温。お熱さんエライ!平熱でした。 AM8:40 T都N病院のS医師による術前回診。のどを見せられる。 パンパンに腫れたまんま。数秒の沈黙の後、「手術しましょうか!」と。 手術許可が下りた。やった〜〜〜。 その後、点滴が始まる。併せて抗生物質も点滴。 AM9:50 I看護婦に呼ばれ、術着に着替える。 ストレッチャーが来て横になる。前投薬をするために肩に筋肉注射。 イタ〜。すぐに手術室へGO ! AM10:00 手術室にて *全身麻酔* ・手術用ベッドに自力で移り、心電図、血圧計、酸素マスクなどをつける。そこにY看護婦がいたが、昨日とは違う態度で「おはよ〜」と言ってきた。 恐るべし、Y看護婦。 ・留置針が刺さっている静脈に麻酔薬を入れる。麻酔薬は白く、点滴チューブが白くなるのを横でじーっと見る。 麻酔薬が静脈内に入り、痛みが出てきた。 痛い痛いと訴えると、麻酔科医が私の手をさすってくれた。手首から肘、肘から肩へ。痛みが肩に達すると、もう意識を失っていた。 おおおおお!すごいじゃん。 眠るように意識を失う。腰椎麻酔と比べて苦痛ではなかった。 意識を失う前までの記憶はしっかりある。 *手術中* ・麻酔がかかっていたため、手術の記憶はありません。たぶん、私の胸(私は女性です)を見て笑っていたのだと思います(笑)冗談!! *手術終了* ・たった2時間という、短い手術だった。 あっという間だった。3回目の手術は3時間だったが、2時間だとしても長かったのに。 覚醒(目を覚ます)は抜管(気管内チューブを抜く)の苦しみからでした。 私は耳が不自由なため、看護婦や医師の呼びかけに反応することが出来ない。 そのため、体を揺らされるか何か刺激で覚醒しなければならなかった 。 抜管までは意識がなく、ただ眠っていたが、抜管時に気道が刺激され、やっと気が付いた。 抜管の最中に目を開けてしまい、何?なんで苦しい??「オェ〜!」と苦しみながら私の口からチューブが抜かれていくのをはっきりと見た。 その後、胃の中に残っていた胃液を吐いてしまった。 吐きっぱなしで呼吸できず、息切れ(笑)更に、わきの下を切開したためか、肺をしぼませたためもあって、呼吸が出来なかった。 意識があるかどうかの確認に看護婦の手を握った。 尿カテーテルはつけなかった。 短時間で終わり、術後歩行可能なため。 PM0:00 胸部レントゲン撮影 手術室を出て1階のレントゲン室へ。肺をしぼませての手術だったため、肺がちゃんと元に膨らんでいるかどうかを確認するために胸のレントゲンを撮る。 移動中、意識が混濁しており、1回目を覚ますと、…ここはどこ?????デカイ機械が私の上にある??落ちてくる〜!と驚いた。 またまた吐いてしまった、Y看護婦はせっせと私の口をきれいにしてくれた。感謝! PM0:15 5階にある病室へ。すぐに酸素マスク装着。は〜は〜す〜す〜。役立たず!(呼吸が楽にならず、キレていた)「おかぁーはん(おかあさん)!!ふね いたはぁい(むねイタイ)!」と母に文句を言った。 さんざん文句を言った後、S医師が来て「手術成功しました!手の汗はもう止まっていますよ。」と。 おおお!止まった止まった!新しい人生が開かれたような気持ちになった。 呼吸苦から少しだけ眠る。いつの間にか、点滴が終わっていた。 3〜4回バイタルチェック。 PM3:30 点滴開始。抗生物質、解毒剤(麻酔薬を体から流し出すための薬)の点滴。 PM4:10 点滴終了。意識もしっかりしてきた。呼吸もある程度楽になる。I看護婦に「歩いてもいいよ。トイレ行く?」と言われる。 個室にあるゴージャスなトイレで術後初めてお少水を足す。足取りもしっかりしてきた。 PM6:55 検温。…上がった。38度ちょっとある…。あああ〜〜〜。氷枕をもらう。静かに横になりテレビを見まくる。 朝、便通が無ければ浣腸。しかし、前日に便通があったため、浣腸は行わなかった。 朝食は前日に続き、禁飲食。昼も禁飲食。 術後5時間経って異常が無ければ、水分摂取可能。夕食から粥食。食べたくなかった。 @手術翌日@ AM6:30 起床、検温。…下がらん!!37度高め。氷枕を交換する。 AM9:30 胸部レントゲン。1人で1階レントゲン室へ。呼吸苦のため、歩行のたびに息切れする!わきの下を切開したため、腕が上がらず、レントゲン技師を困らせた(笑) PM2:50 検温。やっぱ高いな〜。氷枕交換。 PM7:00 検温。ぬぉぉぉぉ〜〜〜!なんで下がらんのや〜!37度高め止まり。 朝食から普通食、薄味だけに味がない?? 点滴は朝と夕の1日2回、抗生物質と解毒剤を点滴。 次の日は退院♪ @退院日@ AM7:50 検温。微妙だが、下がる。36,8度。氷枕交換、退院時間まで冷やし続ける。 AM10:00 最後の点滴開始。点滴が終わったら消毒して退院。 AM10:45 点滴終了。傷の消毒を行い、自己消毒のための消毒液をもらう。遠方のため、通院できないため。 AM11:30 退院。F病院を出る前に、Y看護婦に挨拶。「や〜い。手サラサラじゃん!良かったね。 お大事に。」サヨナラ。この時、術後初めて握手した。 多汗症のため、握手が嫌いだった。汗を気にしないですんなりと手を出して相手の手を握る。 この一瞬がとても嬉しかった。 @1週間後@ 1人暮らしスタートしてしまい、F病院までの距離が伸び、抜糸できなくなってしまった。 仕方なく、退院時に書いて頂いたY大学病院への紹介状を持って抜糸してもらう。 ほほう、目立たない。 傷は1センチ以下、全然目立ちません。夏の海でも安心できます。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ この手術は3泊4日で済みました。内視鏡のため、回復がとても早いのです。大変貴重な手術体験でした。 全身麻酔による影響は全然出ませんでした。頭痛、吐き気ともに現れませんでした。 この先、腰椎麻酔下での手術があっても、絶対、全身麻酔で手術を受けてやる!!と思いました。 これから、私のような多汗症(手掌多汗症)の手術を受けられる方、そうでない方でも、手術(麻酔)の参考になって頂けたらとても嬉しいです。 6回目に続く… |
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